若菜集より
初恋
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
「初恋」:島崎藤村『若菜集』より
(『若菜集』など50年の著作権期間を過ぎた多くの作品が
(『若菜集』など50年の著作権期間を過ぎた多くの作品が
2 Comments:
こんなこともできるのですね。
感激してしまいました。
島崎藤村の『若菜集』読んでみたくなりました。
有難うございました。
sanpoさん どもです、こちらこそ有難うございました。ちょっと雪景色みたいかな?
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