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2007/04/29

梅田北ヤード開発[人間回復の都市空間を]




梅田北ヤード開発[人間回復の都市空間を]
篠崎由紀子:都市生活研究所社長(2007年4月29日読売新聞[論点]より)

 なんばパークスが全館オープンした。段丘型の屋上庭園に、一期と合わせて7万本の樹々が、新緑の季節を迎える。
 御堂筋の対極に位置する梅田北ヤードでは、24ヘクタールのうち第一期開発地区7ヘクタールが着工されようとしている。
 2011年に完成予定のこの街は、「ナレッジ・キャピタル」が核となる。ロボットやITアートの研究や展示の拠点である。先端工学と人間行動や芸術、デザインの融合は、今日的なテーマであり、関西の産業の先導役として大きな期待を担っている。

 JR大阪駅は第改装中で、北ビルも新築され三越が出店する。阪急、阪神は経営を統合して、それぞれ百貨店を建て替える。大丸も増床予定だ。
 これらの計画が実現すると、商業施設の述床面積は40万平方メートルを超えそうだ
 「大梅田」は、ますますヒトとモノにあふれるだろう。

 1970年の大阪万国博のテーマは「進歩と調和」だった。それから30年が経ち、和紙でできた日本館が評判を呼んだ「環境」のドイツ・ハノーバー万博。
続く21世紀最初の愛知万博のテーマは「自然の叡智」になった。
 
 文明の流れを示す万博をふりかえりながら、4棟の超高層のビルが並ぶ北ヤード一期の計画図を見ると違和感が生じる。

 関西経済同友会の梅田北ヤード研究会は、昨年ソウルを訪れた。視察したのは、高速道路をとり払い、都心に復元された清渓川(チョンゲチョン)6.8キロの流れだった。「21世紀の都市のシンボルは、高層ビルと高速道路ではない。豊かな緑と水だ」と強いリーダーシップで都心に清流をとり戻した前市長の李明博氏は誇らかに明言している。

 北ヤード開発もそうあってほしい。都心は働き、消費するだけの場ではない。集い、楽しみ、憩い、癒される人間回復の空間でなければ未来指向とは言えない。

 北ヤードの目と鼻の先には淀川の本流が流れている。護岸はそのままに、水をポンプアップして北ヤードの中心に導く。かって舟溜まりがあった出入橋から堂島川に流すプランもある。  天満の八軒家浜の整備や道頓堀川とあわせて、水の回廊が大きくなる。ソウル都心の清流に感銘をうけた研究会メンバーは、水の都再生に期待をこめている。

 この思いを市民や行政と共有したい。

 関係者に望みたいのは北ヤードの街づくり模型を作って現場に展示することである。立体模型はわが街への関心を呼ぶ。あと続く二期ゾーンと合わせて、ぜひ市民から意見を集めてほしい。

 大阪市は北ヤードについて03年に国際コンペを催し、969件(うち海外から363件)の応募作品の中から優秀3案を選んだ。

 アルゼンチンの建築家は、ビルも道路も広場も町全体を緑の樹々でおおった淀川から北ヤードまでを緩やかな蛇行する水路でつなぎ、「淀川を呼ぶ」と謳った案。自動車は地上から排除してベネチアのように運河と七つの島で街を作る案。世界から寄せられた素晴らしいアイデアを大切にしたい。立体模型とならべて展示に復活させれば発想の幅がひろがる。

 北ヤードは都心に残された最後の一等地である。だからこそ、100年先を見こして構想する価値がある。
 資金面では市民や企業に広く出資を募る仕組みを検討しなければならない。課題は大きく立ちはだかるが、北ヤードを水と緑あふれる街にとの熱い思いを共有することから一歩が始まるのではないだろうか。
 未来の北ヤードが、御堂筋、中之島、なんばとつながれば大阪は風格ある個性的な中心軸を持つ。美しい都市がここに生まれる。

   ◇
 関西経済同友会常任幹事
(YOMIURI ONLINE電子版に未掲載のため、読売新聞より原文のまま転載、レイアウトは多少変わっています)

参考:「北梅田ナレッジ・キャピタル フォーラム」概要
http://www.kitaumeda-osaka.jp/forum.htm

写真上:GORIMONさん撮影の梅田・北ヤード
画像下:Google SketchUp 3D画像の一部にSeaGateさん作成のデータを使用しました



 

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